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サイト改装がままならず更新できない。栗鼠です。


つづきにて地味にSS投下。
小説の書き方が分かりません…誰かたしけて(´;ω;`)
何が書きたいのかもう意味がわからない…orz



平和協定




こんな話聞いてない。
司祭が祝福の言葉を述べ、仰々しく式が進む中ガウリイはちらりと隣を盗み見る。
白いふわふわしたドレスと、顔を隠すヴェール。
手に持ったブーケが大き過ぎると思えるほど彼女は小さかった。
というか、小さ過ぎだと胸中で毒づく。


完璧にだまされた…あの国王は油断ならない。


長きにわたる国同士の諍い。
それに終止符を打った切欠はゼフィーリア王の死だった。
内乱か老衰かは知らないが、エルメキアはこれを機に一気に攻めに転じた。
王が死ねばどこの国でもお家騒動がおこる。
内部がごたつけばそれは各方面に影響する。
国境での戦いは圧倒的に有利になるはずだった。

しかし待っていたのは力を増したゼフィーリア兵だった。
戦いは楽になるどころか、より苦戦を強いるようになった。
戦力では明らかに上回っていたはずのエルメキアが長年かの国を落とせなかったのには理由があったのだ。
力押しのエルメキアに対して、ゼフィーリアは戦略でそれを迎うつ。
だがその完璧に見えた戦略も無能な王や大臣たちの勝ちを急ぐ場当たり的な命令により所々穴があり虚をつく事は難しい事ではなかった。
現に今までそうして戦ってきたのだから。
そしてそれは、王が死に内部で争いが起き、その穴は着実に広がるはずだったが…


「それでは誓いのキスを」


司祭の声にハッと顔を上げる。
気付かれないようにため息を漏らしガウリイは隣の人物―――自分の生涯の伴侶になる姫に向き合った。
すこしかがむようにしてヴェールを捲ると益々胸が痛む。
大きなくりりとした目で見上げられると自分がものすごく悪い人間に思えてくるから不思議だ。
できれば今すぐ逃げ出したかった。
こんな結婚など無効だと。
しかしそれはできない。平和協定を結ぶためにはこれしか道が無いのだ。

ガウリイとて戦いが好きなわけではない。
剣を振い身体を動かすのは好きだ。だが人を斬ることは馴れるものではないから。
好戦的な父は何としても勝ってゼフィーリアを手に入れるのだと無茶をしてきた。
その所為で、生まれてこのかた平穏など味わったことが無かった。
国民のすべてがそうだ。
そんな折、国境の陣営で父以下王位継承権のある王族全てがゼフィーリアから侵入した曲者に暗殺されたと報告を受けた。

残ったのは自分だけ。

肩の荷が下りた気分だった。
何故なら自分の首を差し出せば戦いが終わるのだから。
死にたくは無いがもう負けは決ったも同然だった…


しかしそんな彼を待っていたのは意外な言葉だった。
ゼフィーリアの新しい王は言ったのだ。
『俺は別にエルメキアなんて不毛な土地いらねぇし、そもそも親父の勝った喧嘩だろめんどくせー』
なんでそれを引き受けなきゃならねぇんだと。
だからと言って放置すれば延々と戦がつづきそうだったから攻めに転じただけだとそれは言う。
『兵を引け。そのために頭のゆるそうなお前を残したんだから』
『…随分な言い方だなぁ…』
がしがしと頭をかいた。確かにそうなので反論できない。
『戦場では怖い相手だが、政治には無かねぇだろう?』
『おう』
『…そうやって認めるところが益々むかねぇな。だが莫迦じゃねぇからアレだ…天然か?』
『さぁ…』
よくわからないが、首を斬られる事も無くこのまま戦いが終わるのはありがたかった。
だから兵を引くと頷いた。
二度とエルメキアがゼフィーリアを攻撃することはあり得ないと。
しかし、王同士がそう言ったところで国民が納得するわけがない。
簡単に割り切れないほどの人が死んでいるのだから当たり前だった…
だから平和協定を結ぶことになった。
国王は王位を継いだガウリイとし、伴侶をゼフィーリアの第二王女とする。
エルメキアは今まで一夫多妻制だったのだがそれを廃止した。
そして王位継承権は生まれてくる子以外には決して与えないとなった。
これは王族とは名ばかりな遠縁を抑えるための契約。
ガウリイはその書面を眺めながら首をかしげる。
『良いのか?第二王女って…あんたの娘だろ?』
『あぁ』
『…人質にとられたりだとか…負けた腹いせに酷い事されるとか思わないのか?』
目の前の男の年齢はよくわからない。
だが国王の歳を考えればガウリイよりははるかに上だ。
その娘が結婚できる年頃なのだとすれば、16,7だろうか…
黒髪の王は『そりゃー無理だろうな』と笑って見せた。

その意味を今日初めて理解した。


「…ガウリイ殿、誓いのキスを」


ヴェールに手をかけたまま固まっているそれに、司祭が小声で話しかける。
ガウリイは意を決して顔を近付け…うるうると潤む瞳に躊躇した。

これは、犯罪だ。

おそらく情を持ってのキスも恋も経験したことも無い少女は頬を真っ赤に染めて何か訴えるようにガウリイを見上げる。
そういう趣味の奴らもいるのだがろうあいにく彼はグラマラスで後腐れ無く、面倒じゃない女性の方が好みだ。
ちらりと貴賓席の王を見る。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。
その瞳が言う。『やれるものならやってみろ』と。


「…ガウリイ殿…」


急かすようにまた司祭。
彼女に視線を移すと、涙はもうこぼれおちんばかりだ。

誰か助けてくれと心で願えば、『女子供には優しくするのよ?』と言う祖母の言葉がよみがえる。
この場合どうしたらいいんだという問いかけへの答えは返ってくるはずも無かったが…

しかしいつまでも固まっているわけにはいかない。
意を決して肩に両手を置き、小さな唇に己を重ねた。
ビックリしたように手の下で幼い身体が跳ね、震えが伝わる。
あまりに幼い。
幼すぎる。
少なくてもこれが最初のキスであり、次はきっと5年か6年先だ。
ぷっくりと柔らかいそれから顔を放す。
俯いてしまった表情は分からなかった。
それでは―――と司祭がつづけようとした時だ…パーーンっ!!!!と乾いた音が響いたのは。

彼は一瞬それがなにか分からなかった。
彼だけじゃない、式に集まったもののほとんどが理解できなかった。
ただゼフィーリアの関係者だけが息を殺し肩を揺らしている。

一拍遅れて頬に痛みを感じた。
ひりひりとしたそれは、『サイテ―ね!!』と身分を隠して遊びに出かけた城下の遊女に平手打ちされたときの感触に似ていた。

驚いてその主を見る。
何故かスリッパを握りしめた幼い花嫁が親の敵を見る目でガウリイを睨んでいたのだ。
そして…


「バカっ!!あんたなんて大嫌い!!!」


高い声でそう叫ぶと式の続きなどお構いなしで駆け出して行った。
途中長いドレスの裾を踏んでたたらを踏みながらも、風のように…
ぽかんとそれを見送っていた人々が慌てて後を追う頃には既に城のあらゆるものを破壊していた。
立派な花瓶も石を彫り込んで作った像も恥ずかしさと怒りにまかせてぶち壊す。
「おやめ下さいませぇぇえええ!!!!」とメイドたちの悲鳴が遠く聞こえた。


「な?アレに手を出せるもんなら出してみろ」


振りかかった声。
ガウリイはひきつった笑みを浮かべそれを見た。





Fin


つばさリナ。
でもガウリイは原作年齢なので、さらに犯罪。
そのうちちゃんと小説部屋に入れますがとりあえずこっちで地味に更新。


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