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  まさかの続き(´・ω・`)




平和協定2



城の奥深く。許可した者しか入ることの許されない後宮の一角がリナの部屋だった。
スリッパで夫となった男の頬を殴った挙句、式を途中で放り出しあらゆるものを破壊した台風みたいな姫様。
いや、もう妃と呼ぶべきか…
ガウリイはひりひりとする頬を抑えながら執務室への回廊を歩く。
途中幾人かの臣下とすれ違ったが、皆彼をまっすぐに見ようとしない。
あからさまに視線を避けるか、微笑ましいものをみるように口元を緩める。


「…酷い有様だな」


何度目かのため息をついたころそう声をかけられた。
黒髪で目つきが悪いゼフィーリアから来た男はくつくつ笑うと薬を投げてよこした。
頬を抑えていた方の手で受け取る。
空気に触れて引っかき傷がちりりとした。

結婚式の夜と言えば、ガウリイがどう抵抗しようとも同じ部屋に押し込められる。
ベッドは一つ。
虎の子のように威嚇しまくりの女の子と、どうにかしてくれとため息ばかり漏らす男。
いっそ大きなドアを叩いてここから出してくれと叫べたならどんなに良かっただろうか…
エルメキアの血を残すには何が何でもリナに子供を産んでもらわなくてはならない。
妃はただ一人なのだから。
老中たちは躍起になった。ガウリイは呆れた。こんな子供に手を出せと言うのかと…
この状況でそういう事を求められるのは困ったし、流石に無理だ。
良心が許さない。

雪がそろそろ降りだそうかと言う季節に床で寝るのも避けたい。
暖炉はあるがいささか部屋が広すぎる。
だから身を固くして睨んでいる子供を抱き上げてベッドに放り込んだ。
これだけ広いのだから端で寝れば全く問題なかろうと、何もしないからと告げて。
しかしまぁ、見事に引っかかれたのだが…


「ま、曲がりなりにもアイツと結婚したわけだしな…でも一言忠告しといてやる」


男の声が低く容赦のないものに変わって、ガウリイは思わず剣に手をかけた。
流石に抜くまではせずに、男を見据える。
戦場で幾度もひやりとさせられたプレッシャーを思い出した。
それが、言う。リナにマジで手出したら斬っても良いって言われてるから…肝に銘じとけ…と。
無言のガウリイの横を通り過ぎ、じゃぁなと歩き去る背中。
もう既に威圧するような殺気じみたものは消えていた。
それを見送りながらふと頭をよぎるもの。


「そうか…お前、リナの事が、す」
「んなわけねぇだろ!!!」


大理石の廊下をすごい速さで駆け戻ってきた男に胸倉を掴まれる。
お前の眼は節穴か!?莫迦なのか!?と恐ろしい権幕でそれは怒鳴った。
今の話の流れではそうとしか思えなかったのだが…困ったように告げると頭を抱えてうずくまるそれ。


「ヤメロ、俺はロリコンじゃねぇ…」
「俺も違う」
「それに、俺は出るとこ出てる大人の女が好きだっ!!」


男が力説し、ガウリイはそうだそうだと頷く。
間違ってもあんなお子様をどうこうできない。
せめてあと6歳…いや5歳上なら…と思うが、実際に5年後6年後…あれを抱けるだろうか?

それに…と今朝の事を思い出す。
ベッドの隅で毛布に包まって長いまつげを伏せている様子は子猫のようでなんとも言えないかわいらしさがあった。
威嚇し、暴れていた姿が嘘のようだ。
頬をつつくと首をすくめてふにゃふにゃと寝言を漏らす。
本来妻になった女にならば、ドキッとすべき場面で、不覚にもきゅんとし、変に親ごころのようなものが芽生えてしまったきがする。
自分より小さなものを守ってやらねばと言う思い…といえば聞こえはいいが、実際には初めて小動物を飼った時の気持ちに似ている。
子供のころ、巣から落ちた鳥のひなを庭師の爺やと育てた…そんな感じだ。

この状況ではたしてこれから先やっていけるのか…皆目見当もつかない。


「…どうするんだろうなぁ…」


ため息は癖になりそうだった。






続かない。
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